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NT [医学]

ニュータイプとか
ナリタトップロードの話ではありません。

胎児後頸部浮腫(nuchal translucency)。
略してNT。
妊娠11週〜13週のあたりで胎児に見られる
文字通り後頸部のむくみのことを指す
医学用語であります。

何でも、NTの厚さが3mmを超えると
ダウン症等の染色体異常の確率が
高まるそうな。
ふむふむ。

ちなみに、私はまっっったく覚えていませんでしたが、
国試から2ヶ月しか経っていないイケメン研修医君は
ちゃんと覚えていました。
えらいぞ。よしよし。



で、うちの子、
後頸部に5mmの浮腫が見つかったんです。
しかも、15週で。
11週の時点では
むくみの『む』の字も見当たらなかったのに。

厳密には『NT』の定義からは外れた
『何らかの後頸部の浮腫』だった訳ですが、
染色体異常の可能性と併せて説明されたのが

『ヒグローマ(hygroma) 』。

これまた染色体異常を伴う確率が高かったり、
胎児水腫にまでなってしまうと
死産につながるという厄介な疾患なのですが、

全く記憶に無し…
おっかしいなぁ…


妊婦健診後には
いつも結果報告のLINEが送られてくるのに、
15Wの健診の日に限っては、
待てど暮らせど妻からの報告は無し。

元々2人で出掛ける予定があった事もあり、
仕事を早々に切り上げて
嫌な予感と共に帰宅してみると、
案の定、いつもはTVと明かりが灯っている
1階のリビングが真っ暗。

で、明かりのついている2階に上がってみると、
洗濯物をたたんでいる妻の目が真っ赤っか…



お出掛けどころではなくなってしまったので、
妻が受けた説明にあったという
『胎児後頸部浮腫』『hygroma』について
Google先生に教えを請いまくってみると、
引っかかってくるのは
どれもこれも気の滅入るような内容のものばかり。

何度も心を折られそうになりながら、
得られた情報を客観視して
何とかたどり着いた結論は、

☆5mmから大きくならなければ
とりあえずの命の危険はなさそう。
☆染色体異常があると心奇形が見つかったりするかも。
☆浮腫・嚢胞が消えていってもダウンの可能性は6%弱。

うん、控え目に言って、これは、
でらヤバい!



暗澹たる気分で、
翌日、妻と2人で改めて産科を受診。

☆染色体異常スクリーニングで観察する後頸部に
NT様の浮腫が出現しているが、
スクリーニングで観察する時期とはズレている。
☆hygromaの可能性もあり、その場合は時に致命的となる。
☆いずれにしろ染色体異常の可能性あり。
☆経過を見ないと予後については何とも言えない。
☆リスクはゼロでは無いが、
羊水検査で染色体異常の有無については診断可能。

まぁ、そらそうでしょうなという説明でした。

とりあえずその場では、

☆羊水検査はしない。
☆しばらく短い間隔でエコーをfollowしてもらう。

という事だけを決めて帰宅。

2人して落ち込んでいてもしょうがないので、
もちのき賞を観に京都競馬場へ行った後、
イルミネーションを見たいとの
リクエストに応えてUSJへ。

まぁ、しかし、
そんなもんで気持ちが晴れる訳もなく、
翌週の再検まで気が気じゃありませんでした。

だって、エコーを見れば
妻のお腹の中で我が子が元気に動いているんです。
かわいくて、愛おしくてしょうがないんです。

染色体に異常があろうがなかろうが、
生きて産まれてこられる可能性が
わずかでもあるのならば
諦めたくはありませんでしたし、
この子が失われてしまうなんて
想像したくもありませんでした。

何より、そんな事になった時の
妻の心痛を想像するだけで
私の胸が引き裂かれそうでした。

何かしらの重荷を背負って
産まれてくることになったら、
『何故産んだのか?』と
恨まれる事になるかもしれない。
その恨みを2人で引き受ける覚悟はしておこう。
そんな事を話し合ったりもしました。

親や上司に心配をかける訳にもいかず、
ただただ2人で抱え込むしかなかったので、
あの1週間は本当にきつかったです。



あれからちょうど半年。
もちの木賞で出遅れたオノさんは
無事に500万下を突破し、
我が子も無事に産まれてきてくれました。

心雑音が聞こえるらしいのですが
そんなの関係ありません。
今はまだ目に見えない奇形が
隠れていたりもするかもしれませんが
そんなもんもクソ食らえです。
3人で力を合わせれば
どんな困難も乗り越えられる!

はず!多分!



後頸部の浮腫は週を追うごとに縮んでいき
最終的には同定困難になっていました。
こういうケースはまず問題が無いと説明されましたし、
確かに妊娠〜出産までは
何のトラブルもなかった訳ですが、
実際のところ、どうなんだろ?

答えが出るのは数年後



という事にしておきたい。
自分で聴診してみる勇気はございません。
父はヘタレなので。

NiceなTousanを目指さねば。


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